波紋/蝶番 灯
風は 悠久の時を風化しました
草は 朽ちた誰かの命で成長しました
空は 嘘もない真実の青で嘲笑(わら)いました
耳を澄ませば 声が降ってくる
水を渡る蜻蛉と 風に乗るアゲハ蝶
時は流れることなく
ただ蓄積し風化していくのに
何故この季節は麗しく美しいのです
渡り鳥は四季を知りませぬ
四季は渡り鳥を知りませぬ
雲は 時として嘘を装いました
花は 枯れ朽ちても美しいと云いました
時は 現在に於いて居場所など在りませんでした
時は過ぎるのではなく 忘れられる
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