得たと思うと同時に失う。/こしごえ
得たと思うと同時に失う。
そう
花はひそやかにゆれている。
私はひそやかにゆれている。
命は命に支えられている
この体は何かからの借りものなので、この体を返す時は一先ず自然へ返す。
しかし、
あなたや私のそれぞれの命に代わりはないし、私の気持ちは私のものです。
でもね、とらわれていると苦しい。
だからできるだけとらわれたくない できるだけ 雲のように水のように。
(とらわれないようにすることに とらわれていると気付く)
ああ、結局私は、とらわれているのだ。なぜかほっとする。
うん、何かを精神的に手放して こころを満たすことができるかもしれない。
名の無い私を置き去りにして、
名の無い鳥が飛んでゆく。
はじめの命を生んだのは何かだ 何かを生んだのは何だろうか。沈黙する
得たと思うと同時に失う。
そう
あの目は、
遠い昔に失った何かを見つめる
目であった
これも運命か。それでも 私は命に従います
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