財産/ふるる
随分と明け暮れた
袖が長くなった
言葉は短く
体毛は薄く白く
はかないものに近づいていく
そんな母に高齢の魔女たちが詰め寄り
うらみつらみの思い出話に花は咲かずに散りしきる
というような話を
紅く燃え盛る山々を見ながら叔父とする
遺産とは生を受け守り育てられた行為なのではないかお金ではなく
ならば皆平等に生かされて今では
よく転がりそうな樽
枯れ木じみた魔女などに見えるが
健康ではある母の妹たち
現金は即株につぎ込んで数字を睥睨していた祖母は
床が腐って抜けるほど質素だった
広大な土地を持っていたのは叔父しか知らなかった
姉たちの狂騒を予測し
早々に相続
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