洗濯物が溜まるので/オイタル
挙カー走る
正気でいても
幻聴は聞こえるのだと知った)
ぼくの裏切りを笑った
胸の小さな女の子とか
(散った日差しが
葉先に少し残る日だった)
そうこうしているうちに
地球の破壊は進みに進む
(汚れた雨が蝶を眠らせ
風が母の足を掬う日)
(地球の方が破壊
と思っているかどうかは
ほんとあやしい)
夜の屋根を山なりに越えて
南極の砕ける音がする
(こめかみまで)
でも
僕が地球を案じるほどには
地球は僕を思っちゃいないわけで
(ふと天の羽衣うち着せたてまつりつれば)
(「いとほし、かなし。」と思しつることも)
(百人ばかり天人具して、昇りぬ)
ぼくの裏切りも
それから月や地球の裏切りも
シャツの裾の皺をちょっと伸ばす
極地の風は強いけれど
洗濯物を乾かすには間に合わないだろう
でも
あと幾度か僕は洗濯物を広げる
広げて はたいて
月の光に透かして
氷が波を滞らせ 波が風を震わせ
風が空の洗濯物を
比喩のようにゆるく
星まで吹き上げるように
(選挙カー
月を汚す
雲の断崖に散らばれ)
戻る 編 削 Point(8)