風の便り/佐白光
 

 北風が頬をなでて行くこの季節

 涙が止まらない

 今までの自分を振り切って歩んできた道

 風の便りを確かめたくて

 引き出しの下に眠っていた

 古ぼけた便箋に記したのは
 
 「お元気ですか、今どうしてますか」

 風の隙間から手を入れて掴んできたのは

 春風に乗ってやって来た風の便り

 もう確かめることも出来ない

 自分が楽になりたいだけなんだから

 

 
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