それは日向の路上でふと頬をかすめる雨粒に似て/ホロウ・シカエルボク
もう数十年のキャリアを誇るだろう生ゴミ用のポリバケツには今日も腹を存分に膨らませたビニール袋が蓋が少し持ち上がるくらいにまで詰め込まれていた、俺にはそれが薄笑いを浮かべ、帽子を持ち上げて挨拶をする気障野郎に見えて仕方がなかった、明方の裏通りは高さだけは一丁前のビルディングに囲まれてそこだけ時の流れから取り残されたかのようにまだ闇を抱えていた、物陰で己を過信した野良犬がこちらを警戒して唸り声を上げていた、俺はそれを黙認して通り過ぎた、いずれ誰かに棒切れで殴り殺されてしまうだろう、もしかしたらそのまま解体されてそいつの腹の中で消化されてしまうかもしれない、なんにせよ俺の知ったことではない、雨の匂い
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