「あなたを待っていたのよ」なんて、退屈している女ならみんな口にするものだ/ホロウ・シカエルボク
 
持たずに住む、そんなつまらない家だった、二階への階段を上る途中、変に空気が重くなったような気がした、きっと、締め切られていたせいで籠っているのだろう、そう思って先へ進んだ、二階には三室あった、やはり、何の変哲もない部屋だった、まあ、入れただけでも…そう思いながら最後の部屋のドアを開けて、思わず立ち竦んだ、そこにはキッチンのテーブルセットのような凝った細工の椅子が一脚だけ置かれてあり、その椅子には実際の子供くらいの大きさの、煌びやかなドレスを着た外人の少女の人形が腰を下ろしていた、近づくと、彼女は礼でもするかのようにぺこりと頭を下げて、それからこちらの目の中を覗き込んだ、こんなところに寄らずに早く帰るべきだったのだ―少女の人形はそれからにこりと笑い、甘えるようにこちらの手を取った。

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