詩の日めくり 二〇一七年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
二〇一七年十三月一日 「日付のないメモ」


 彼は作品のそこここに、過去の自分が遭遇した出来事や情景をはめ込んでいった。あたかもはじめからそれがそこにあって当然と思われるはめ絵のピースのように。さまざまな形や色や音を、いろいろな時間や場所や出来事を、たくさんのピースをはめ込んでいったのだった。そのはめ込まれたピースのなかには、はめ込まれてはじめてはまる類のものもあって、はめ込んだ前とまったく異なるものもあったのである。そういった類のピースが多くある作品には、作者にもつくれるとは思えなかった作品がいくつもあった。


二〇一七年十三月二日 「短詩」


暗闇の一千行
一千行の
[次のページ]
戻る   Point(14)