街/末下りょう
空は曇り
街は曇り ビルの谷間の 冷えたぬくもりに躓き 吹き抜けるかぜ なぜ と 灰とかげ──背広の音色が波のように行き交う歩道に落としたピルは
奈落の白い底
騙したあとの騙し絵の ように
黙ったままの口元に
けさ
ふった紅いルビを
街路樹の木枯らしにさらわれて
津波のようなあなたが すべてをなぎ倒しながら
ゆっくり信号を渡ってくる
為す術もなく
わたしの肌を流れていくあなたの肌にのみ込まれて 何処までも流されていく
逃げおくれたのは言葉
わたしじゃない
街は曇り
空は曇り
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