君の翅/塔野夏子
 
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢のように消えうせた

その一部始終のあいだ
君は僕にずっと背を向けていたから
君が泣いていたのかどうか僕は知らない


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