詩の日めくり 二〇一七年十二月一日─三十一日/田中宏輔
 

思い出したことがあるので
本棚からママを取り出して
開いて見た
ママのにおいがする
顔を近づけた
やっぱりママのにおいが好きだ
ママを本棚に戻すと
灰皿のなかからパパを取り上げて
もう一度
パパに火をつける
どうしてまずいと思ったんだろう
パパの首の先から
ホー
 ホケキョ

きょうは神経科の病院に
うつの薬の処方はなしに
先生がぼくの言うとおりのぼくだと思っているということが
ぼくには怖い
そんなにはやく
うつって治るのかどうか
大丈夫でしょうということだけど
ほんまかいな
と思った


二〇一七年十二
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