ロックダウン/やまうちあつし
十分に働かれたのちには
わたくしどもにこの場所を
少しだけお貸しください
今はお還しいたします
存分に
この都市をお使いください
そんなことすら
口に出しかねないほど
敬虔な気持ちで
立ち尽くしていた
黒ヒョウの姿は既にない
上空に
二つの巨大な眼を残し
これまで
都心部の夜空を
煌々と汚していたネオンにかわり
大都会を見下ろしている
まるで守護者のように
あるいは審判者のように
その視線にあてられてか
執務室では
一人の人物が恍惚としながら
「都市の封鎖をせねばなるまい」
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