詩人の肖像/梅昆布茶
 
詩人の肖像は
誰にもわからない

あるときは
長く執拗な夏
異教徒の祈り

暮色の岸辺の苫屋の
清貧という夕餉

園遊会での貴婦人の
緊密なコルセットの誘惑

屋根裏の経済学と
鼠算的な妄想の自由落下

詩人の魂魄を煮詰めてみても
なにも残らなかった化学室

片隅の人体解剖模型と
将来について語りあかす

誰からも詩人と認識されないまま
登録されないし抹消もできない
だから詩人なのかもしれない



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