水中花/坂本瞳子
 
オレンジが煌めく
輪切りのそれが濃厚な液体の中で鈍い輝きを放つ
それをいつまでもいつまでも飽きることなく眺めている
この汚れきった心の中のように
世知辛い闇夜を彷徨うのを抗うかのように
氷の塊に阻まれることもなく
ただ優雅に浮かんでいるのではなく
飲み干されるのをいまかと待ち望んで
恋焦がれて
燃え尽きてしまう夢を見ながら漂っている
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