いま考えると / ある女の子篇/末下りょう
 
てる友達が詩人に思えてきて 毎晩忘れずに日記を書く几帳面な妹が詩人に思えてきて 台所にメモを残す母の不思議な筆跡が詩人のものに思えてきて 野球のナイター中継をビール片手に語る父すら詩人に思えてきて だからわたしはその頃だいたい途方に暮れていた



あれからもう何十年もたったいまはオリンピックイヤーの
コロナ禍
それでも夏休みの子供たちが
そこらじゅうで歌うように
風や光 石ころや葉っぱ ノートやスマホやiPad 自らのカラダに
一日じゅう
遊びながら詩を刻んでいる

小さい頃のわたしもこんな風に遊んでいたのかなと
いま考えると
詩を最初に読んだ日に 世界には詩人しかいないことがわたしに明かされていた

いま考えると

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