いま考えると / ある女の子篇/末下りょう
 


詩人に嫉妬して咄嗟に拒絶した


同じ人間と思えなくて思いたくなくて
深く関わっちゃだめだ
人生を壊される
笑うけど本気でそう思ったし
教室の席でじっと教科書を眺めながら 生まれてはじめて言葉を危ないものだと感じた
言葉は危険だと思った

それなのに家の本棚を漁って埃っぽい詩集をいくつか見つけると 家族に内緒で夜通し読み耽った
バカだ


愚行と集中、いま考えるとそんな言葉の組み合わせを詩に感じて目をそらしたように思う


でも目をそらせばそらすほど 目を瞑れば瞑るほど耳が敏感になるみたいに そのうち好きな子にラブレターを書こうとぐちゃぐちゃ頭を悩ませてる
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