遠い国/藤原絵理子
 

カブールのニュースを見ていた
七つ釦に憧れた少年だった祖父が
「あれは昔のあれといっしょやな」
ふと思い出してつぶやく 諦めたように


いにしえの教えに戻りたい人たちが
キリスト教徒の発明と 異教徒たちの改善で
科学の先端に鎮座する武器を
誇らしげに掲げることの不思議


壇上伽藍で三鈷の松を探している
ヒジャブの彼女は 国の家族のために
日が暮れて薄暗い地面を一心に見つめる


もう面倒くさくなって口をつぐむ
行ったこともない海の向こうで 
まだ戦争が続いていることに


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