ネジ/草野大悟2
 
のが、君の中に取り込まれ、持ち上げられた光が一層の輝きをはなち、すとん、と落ちる。
 うつ伏せになった光の名残が、細やかな振動を続けているのがわかる。
 この瞬間を切り取っては積み重ね、積み重ねしてエーテルのなかで浮かんでいるときが好きだ。ただただ、浮かぶ、という一点だけで俺と君は完結する。
 そこに異物が紛れ込む要素はまったく、ない。
 バリヤーさえないのに、だ。
 そもそもここにはそんな理不尽は不必要だ。 求められない理不尽ほど、哀れなものはないように。
 バリヤーという名の理不尽は、ここではそれ程の存在にしかすぎず、何百年かあとには、その存在自体が消滅してしまうだろう。後ろから貫けない苛立ちを残しながら……。
 
─  おいおいおいおい。
  見えるか?
  また降ってきたぜ。

─  ああ、見えるとも。
  次から次へと、まあ、ほんとうに、
  よく降るもんだな……

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