還るとき/いっと
ある日、暗がりで泣いていた
曇りガラスで
隔てられた向こう側
訂正を繰り返したが
少し強く
抱かれただけ
浴槽は少しせまく
触れたそばから、失っていく
外から
配達人の声がするが
宛て先は不明で
配達人を困らせてしまう
縫いつけられた
はだかの、体が
求めていたのは
光
誤配された感情は
皮膚から入り込み
少しだけ声を上げる
そして、その後はいつも
抗えぬ力で
この世界に産み落とされる
浴槽は少しせまい
いつかさよならを言うときは
優しく折り畳んで
ゆっくりと
沈めて
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