This is a pen/
やまうちあつし
る目覚めを
待ち続け、その後の一生を棒に振る。やがて病に倒れ、いよいよ間
に合わないと悟ったときだ。信頼に足る若い同業者を呼びつけ、か
つて自分がそうされたのと同じように、有無を言わさず指名する。
机の上に一本のペンがある。ペンは寝息一つ立てずに眠っている。
いつの日か、不意に目を覚ますときが来るだろう。時季を逃さず、
目覚めの瞬間に立ち会わなくてはならない。職業を、詩人という。
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