べつにお前のリアルなんてどうでもいいよ / ある女の子篇/末下りょう
みたく辺りは暗くなりはじめて
海の底のシジミみたいな目をこすってプクプクあの人の帰り道のほうを見ると赤く水っぽい空がいろんな夜の種をプップ飛ばしてて
(ひかりが発酵するみたいに ため息の色をした風の吹く
迷子になれない季節の
水っけだけが強い
街角には
もう)
べつにお前のリアルなんてどうでもいいよ
またあの人にそう言われたくて
毎日を生きてた
なんのしるしもない表通りを ひかりがすべってく 虹のマフラーを棚引かせて遠ざかるあの人の 底なしの眼差しに吸い寄せられるみたく どこまでも
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