べつにお前のリアルなんてどうでもいいよ / ある女の子篇/末下りょう
 
わたしけっきょく書きたいことなんてないからノート引っ掻きまわしてるだけなんですって言ったら、おまえそんないいもんじゃねえだろって、そりゃそだ



雨上がりの虹をマフラーにして ブラックホールの欠片みたいな目で文字を追ってた人
指を置き去りにする煙草の吸いかたで火と煙に置き去りにされてた人
春のような冬に出会った人

舗装したてのスベスベしいコンクリのブルーアワーの水溜まりみたいなロシアンブルーがキャンパスの講堂を抜けて西瓜町のほうに歩いてくのを何度も見かけて
水色と茜色が滲む空に包み込まれるみたいに眠りに落ちて あの人を何度も見失った

わたしという女の窪みに成り果てるみた
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