金曜の星夜 土曜の月夜/千月 話子
星の夜には
空から銀糸が降りてくるという幻想を持って
今は亡き
あの人と、あの人と、あの人と、あの子 と
日記のような会話をします。
瞬いた先から、雫が玉のように伝わって
濡れている花の夜露が
ふるふる と震え答える
ささやかな囁き。
明日の日付をまだ書かないのは
星の夜、星無しの夜
靴を放った占いの
半端な縦置き 曇り空で
毎日がきらきら しているわけじゃない
という真実が
今は、少し煩わしいのです。
たとえば、南の空を掬って落ちる塵糸に
星が紛れて さらさらと
白いノートに模様を付ける
そんな会話を金曜の夜 出来そうな気が
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