鏡/
やまうちあつし
鏡の向こうに誰か住んでいる
見たこともない人
じっと見ていると
あちらもじっと見返してくる
右手を上げれば右手を
左手を上げれば左手を
同じように掲げてみせる
言葉をかけるがそれは通じないらしく
金魚のように口をぱくぱくするだけ
こうなれば
実力行使しかあるまい
拳を振り上げ
鏡に向かって振り下ろす
案の定あちらからも
飛んでくる拳
そしてどちらも
粉々になってしまった
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