鮮や懐古 艶や回顧 仰ぐは蚕/komasen333
 


目を閉じれば
あの時のあなた
鮮やかに
目の前にいるかのように
誰よりも綺麗でした 
あのあなたは 
あの時のあなたは

大袈裟ではなく
嘘偽りもなく
あの時を潤すように
あのあなたに応えるように


振り返れば
あの日々のあなた
艶やかに
目の前にいるかのように
誰よりも女神でした 
あのあなたは 
あの日々のあなたは

何よりも届いた
誰よりも響いた
あの日々を満たすように
あのあなたに捧げるように


もう届かないけれど
色濃く放って止まない
懐古な身勝手が転がる今

もう届かないからこそ
力強く描いて止まない
回顧な自己満足が回る現在


鮮やかに悔恨してもしても
艶やかに開墾してもしても


しっとりと
懐古に降られ
糸を紡ぎ直してゆくばかり蚕

じっとりと
回顧に濡れて
意図に絡まってゆくばかり蚕


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