重底音/komasen333
弛緩する全景
すり抜けてゆく数々の春夏秋冬
繋ぎとめていたかった面影ばかり霞んでゆく
夕陽を背に
手を振り合ったランドセル
当然のように
その先には明日たちが
待っていた 待っているはずだった
随分
遠い過去のことを語るような目つき
随分
遠い未来のひとへ語るようなつぶやき
過去にできない現実を
丁寧に丁寧に
祈りに祈るように
物語へと高めていかざるを得ない
狙い澄ました
わけでもないだろうが
淡くどす黒い重底音が
徐々に徐々に、立ち込めていく最中
破裂した
破裂するはずのないものたちが
破裂した
破裂してはならないものまでも道連れ
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