枯れ落ちた瞼/komasen333
 

枯れ落ちた瞼
左手の甲に乗せて
生前にしておきたかったこと
生前にしておくべきだったこと
今さら、今さら

口にすれば
三行で事足りること
言い淀んでるうちに迎えたその日

示し合わせたような
北北西の風に合わせ
小刻みにゆれる木漏れ日が縁取る
数々の慈しみに満ちた温もり

セピアに色づいてしまう前に
モノクロに染まっていく前に
目の前にはもういない
目の前にはもう返ってこない
だけど
何か形にして受け継いでおかねば

回る針が速度から解放されて
回る足が強度から解放されて
理想郷にも等しい未来
夢見続けているのは
その愚直な意志の名残でしょ
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