詩の日めくり 二〇一七年一月一日─三十一日/田中宏輔
 


たくさんのことを語ってはいるが
言いたいことを少なく言ってしまっている言い方がある。

また少なく語りすぎて
たくさんのことを言い過ぎている言い方がある。

一人でさす傘は一つである。

しかし、たくさんの人間で、一つの傘をさす場合もあれば
ただ一人の人間が、たくさんの傘をさす場合もあるかもしれない。

ただ一人の人間が無数の傘をさしている。

無数の人間が、ただ一つの傘をさしている。

うん?

もしかしたら、それが詩なんだろうか。

きょう、恋人に会ったら
ぼくはとてもさびしそうな顔をしていたようです。

たくさんのひとが、
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