いつだったか/緑水
 
肌の匂いが移るほど近くで聞いた あの言葉は
今はもう、遠い過去(むかし)の記憶

あの日と同じ場所に立ち尽くしても
戻らない あの後ろ姿

最後のメールから 季節が三度巡った今でも
「また声が聞きたい」と言ってくれたあの言葉が
頭から離れないでいる

…ただ一陣の風が 空を舞う…

すべてが変わってしまったとしても

この涙をさらってくれる風だけが
あの日と同じ、だった―。
戻る   Point(1)