詩の日めくり 二〇一六年十二月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一六年十二月一日 「不安課。」
きょうは、朝から調子が悪くて、右京区役所に行った。
なぜ、調子が悪いのか、わからなかったので、とても不安だった。
入り口に一番近いところにいた職員に、そう言うと
二階の不安課に行ってください、と言われた。
雨の日は、ひざが痛いのだけれど
階段しかなかったので、階段で二階にあがると
最初に目にしたのが、不安課の部屋のプレートだった。
振り返ると、安心課という札が部屋の入り口の上に掲げられていた。
ただ事実の通り、不安の部屋の前が安心の部屋なのか、と思った。
不安課の部屋に入ると、
職員のひとが、ぼくに、こう訊いてき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)