詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
読むことにしていたからかもしれない

なめくじが、どこからきたものかはわからないけれど
もう何十年も目にしていない生き物だ


二〇一六年十一月二十九日 「幽霊がいっぱい。」


マンションでは猫や犬を飼ってはいけないというので
猫や犬の幽霊を飼うひとが増えて
もうたいへん
だって、壁や閉めた窓を素通りして
やってくるのですもの
うちの死んだ祖父が
アルツでいろいろな部屋に行って
迷惑かけてることがあって
文句を言えないんだけど
隣の死んだ和幸ちゃんの幽霊はひどいわ。
どんなに遅くっても必ず起きてて
一晩じゅう
ほたえまくるんです
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