詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
た肉屋の女房だったり
ベイカリーショップの女将さんだったりした
なめくじ人間というのは
人間の大きさのなめくじなのだ
だから時間が経つにつれて
街じゅうはなめくじ人間たちが徘徊する
恐ろしい街になっていったのだ
ぼくはそれを観察していた
危ういところで
半透明のなめくじの体をかわして
逃れていたのだ
半透明になって徘徊するなめくじ人間たち
ぼくは夜の街で唯一の人間だった
街並みは小説や映画に出てくる
ロンドンの街並みだった
夢を見る前の日に
ロボット物のSFを読んだあとで
シャーロックホームズ物のパロディの本を読む
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