詩の日めくり 二〇一六年十一月一日─三十一日/田中宏輔
したら
腕の内側で
あんにゃんのお腹の感触を
恥ずかしいぐらいに感じちゃって
服を通してだけど
自転車がガタガタ上下するたびに
あんにゃんのお腹に力が入って
あんにゃんの腹筋がかたくなったことを
ぼくは覚えてる
ああ
むかし
かなわなかった夢が
いまかなう
あんにゃんとは
なにもなくって
でも
奇跡ってあるんだね
あんにゃんとは
なにもなかったからかな
キラキラと輝いてた
たまらなく好きだった
あんにゃんの手は
鉄の臭いがした
体育の時間だった
あんにゃんは鉄棒が得意だった
背はちっさかったけど
筋
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