長い1行の集まり/空丸
 
えさえずりに変換する。地下鉄。ポケットの小銭。無名。曖昧。輪郭。不確定。地図と時計。人工知能を搭載した案山子。光。風。水。土。無人駅。…

死は余韻を伴う。残影の行方は知らない。生が捜索を放棄しただけである。生きるとは剥がれていくことである。剥がれていった言葉は、誰かの心の軒下で雨宿りしている。無表情という原型のまま。

私は時々無題でありたい。死がそう望むから。名前は世界を分断するが、魂を区別する固有名詞はない。飛行機雲と死を混同することもない。黙って去っていく魂を棺に納め、私たちは再び空白に文字を埋めていくことしかできない。世界が空白を欲しがる限り。

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