新世界/
ミナト 螢
くちばしを失くした鳥が
空を叩かなくなったから
こんなにも暗い世界なんだ
会いたい人はもういない
欲しいものはきっと売っていない
あの街ではぐれた心と
似たような色の
ミルクティーで汚れた朝
飲み干した後の身体に
甘さが残るけど
降り続く雨ほど
純粋にはなれなかった
どこへでも行けるのに
動かずに流された
愚かな生き物
嫌われてもまだ
沈黙の中で
全ての匂いを消して
やり直せるのが
夏なんだと思いたい
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