独り寝の夜/ひだかたけし
 
ああ
初々しい顔して
夜が来た
ひんやり涼しい
風も吹く
向かいの家では橙の
灯りが点り
人影が
それは忙しく動いている
わたしは独り寝の床を整え
さっきからじっと座っている
昼見た森の紫陽花の
青い青い群落が
雨に濡れ輝いて
脳裡に揺れ輝いて

ああ
初々しい顔して
夜が来た
ひんやり涼しい
風も吹く
向かいの家には
懐かしい
灯りが点り
人の気配
わたしは独り
紫陽花の
夢を見ながら
床に就く













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