深い夜の砂漠/ホロウ・シカエルボク
同じくらいの存在意義しかなくなる、御覧、マネキンの束だ、のっぺりとした表情で立ち尽くしている、悍ましい光景だ、さっきもそんなことを思った気がする、関りがループしている、比較対象が明確になり過ぎている、それはブラフだ、ただふたつの世界が比べられているだけに過ぎない、現象としての認識が甘すぎるのだ、いわば、見えるものにとらわれすぎてその奥にあるものを感じ取ることが出来ないでいるのだ、少しの間なにも考えることがないようにと努めて歩いた、リセットというわけじゃないが、一度対象との距離を取ってみることはとても大事だ、最初に感じたことに夢中になってばかりいると大きなものを見落としてしまう、それで少しの間、頭を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)