詩の日めくり 二〇一六年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
の言葉を形成したときの個人の状況(部屋の様子など)も
大いに反映されてる
ヴィーナスの彫刻の腕のない有名なものがあるけれど
その彫刻について
「腕がないから
 想像し
 美しいというように思えるのだ」
みたいな文章を
綾小路くんが読んだことがあって
って
ぼくが
たくさん本を読んでいると驚くことがあんまりなくなるんだよねえって
一般論を口にしたときに言って
しばらくお話
不完全なものが完全なものを想起させるという骨子の文章だったかな
ヴィーナスだからうつくしい
だから
ない腕も
あった状態でうつくしいはずっていう
常識論でもあると思うんだけど
人間て
あま
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