半熟/みい
なみだがおっこちては
とろん という
あなたの肌はボウルみたく
まるで生たまごみたくそれを
ぜんぶ捕らえてしまう
だから
抱きしめられると泣いてしまうのかな
からだがぽかぽかになって
ふやん と泣いた
ちいさな声で
赤ん坊みたいな
眠ってしまう3分前のぐずりかた
すうすうと
あたしに吐息を合わせると
先に眠ってしまったあなたを見て
ふと、
赤ん坊は夢を見るのかな、と思う
びくっと起きて
うやあん、と泣いて
安心させるとまた眠る赤ん坊は
漠然とした不安の夢をたくさん見るんだろうか
いまでも
不安になると泣きたくなるあたしは
泣くことを我慢できるぶんだけ
おとなになったのかな
と思うと
羊水に帰りたくなった
もっと隙間を埋めるためにぎゅっとくっついて、
あなたが芯からあったかいので
余計に自分がつめたかった
そういえば誕生日が近付いて
母が、毎年このあたりに苺を買うのに
今年はまだ苺が売っていないと言っていた
それが正解だと思った
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