雲のような存在/水宮うみ
 
い月が 悩んでる脳と心に地味に沁みる夜。



すれ違う人たちのこと野に咲く花みたいに善良だと感じてる。



桜が散るのが先か雨が降り止むのが先かが問題だった。



十年後ようやく分かったような気がしたあの人のあの日の気持ち。



間違いも敵も味方もない町で草木の隣を歩いていたい。



その顔もぼんやりとしか見えなくて 脳はことばを組み立てている。



人ごとに違う世界がみえていて世界に会うたび誰かを知った。



何かをまた眼差しが考えるから、空は閉じずに変わっていくね。



昔読んでよく分からなかった小説が、今もよく分からないまま本棚にある。



あなたの笑顔があなたと出会うために光の反射があったんだ。



きっとこどもだった頃の月明かり。つないだ右手はざらざらしていた。


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