伝達/葉leaf
もうすぐ生まれる君へ
いつか語り伝えたいことがある
君が懐胎されてから
初めての心拍確認の日まで
本当に大丈夫なのか
ちゃんと生きていてくれるのか
不安で心がいっぱいになってしまった
焦燥感に満ちた日々があったこと
君が少し大きくなってから
妻は少量の出血が長く続き
妻を実家から私の家まで連れてくる車内で
「出血が続くの」
と妻が震える声で泣き叫ぶように言った
緊張に私も不安でいっぱいになった
光のまぶしい日があったこと
君を身ごもる妻にまで風邪がうつって
妻が咳き込んでしまったとき
私もまだ治らない風邪であえぎながら
土砂降りの雨の中
自宅へと自転車で濡れて帰り
人生で最悪の日だと
遠い道のりを見つめた日があったこと
戻る 編 削 Point(2)