きりんのかそう/帆場蔵人
(Q.きりんはくびがだいたいどれくらい
のびるんですか?)
私は街の雑踏のなかのきりんを見たことがある
長い首で歩いているだけで、窓を覗いていると言われ
足下がおろそかになり、ひとにぶつかり謝っている
頭が高い、のだと、謝るさまなのかと責めたてられて
エラい人の凱旋の垂れ幕に
引っ掛かり申し訳なさそうに
きりんはあまりに、なかない
ただ、身を縮めビルにもたれて、身動ぎしなくなって
そんなきりんを省みるものは、もう街を出て故郷へと帰る
人々だけであり、それにしたところで、どうしてやる事も
出来ずに草や水を与えて次第に毛艶をうしなう脚を撫でて
気まずそうに目を伏
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