ただ、風に揺らぐように/ホロウ・シカエルボク
さまに落ちていたのかもしれないが、地獄か、清いものだけが穏やかに微笑みながらのんびりと過ごしているところより、無数の悲鳴がこだまするおぞましい光景のほうが落ち着くかもしれないな、それはいま住んでいる場所とあまり違いがないように思える、ただ、成り立ちがまるで違うだけなのだ、心の悲鳴か、実際に聞こえる悲鳴か、それだけのことだ、階段を上りきると、建物の内側をすべて使った広間が現れた、一階と同じようで違う光線が壁や床を切り裂いていた、床の一部分がへこみ、天井から落ちてきたらしい水が溜まっていた、あの音はここから聞こえていたのだろうか、けれど、どれだけ見上げてみてもそこから落ちてくる水滴は確認出来なかった、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)