詩の日めくり 二〇一六年三月一日─三十一日/田中宏輔
プの子と話をしてたら、そいつがいきなり首だけの化け物になり、ぼくを宮殿に連れて行き、ぼくに、ぼくの文学的歴史の系図を見せた。ぼくはロビンソン・クルーソーのように孤立して生きるらしい。生きているあいだはまったくの無名で、ぼくの作品が評価されるのは死んでからだという。でも、まあいいよと言った。死んでからでも評価されないよりずっといいし、というと目が覚めた。ぼくは泣いて目が覚めたのだが、痛みはまだきつい。塾があるまで時間があるので、もう一度、クスリを追加して飲んでみる。幻覚が異常に生々しかった。ぼくは、違う世界とコンタクトしていたのだと思う。生きているあいだは孤立するというのは、ぼくらしくていい。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)