小学生日記「アナタに伝えたくないこと」/瓜田タカヤ
 
響き僕たちを圧殺する音色が闇に響く妄想にかられた。
僕は、暗黒と吹雪の津軽平野を歩く母と子のような悲劇的快楽を感じていた。

その時、
冷気を持ち多量の水分を含んだ石壁をみつめて母が
「迫ってきそうね。」と「普通の表情」で喋った。
僕は安心して「ショッカーの基地みたいだ」と言った。
子は恐怖の薄胆を母性に求めたのだ。
僕は壁が迫ってきて死ぬことに、少しの恐怖感も抱かなくなった。
なぜなら母が、壁に圧殺されそうだという事柄を喋っているのに、
恐怖の表情を少しも見せていなかったからだ。
僕は母の日常と変わらぬ笑顔に、安心した。
僕は、母はこの場所が安全であることを知っているのだ
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