よっつの梯子/AB(なかほど)
● (曙)
薄暗い部屋の中
光のはしごがすうっとかけられ
それは
雨戸の隙間から漏れていて
僕はふとんから起き出て
手を翳した
掴むことはできない
ああ それでも
光に触れることができる
また手を翳して
塵に降る光を奪ってみたり
口を開いて飲み込んでみたり
● 梯子
屋根裏部屋には
消しゴムの標本があるって
かりふぉるにあおじさんが
声高々に自慢してた
その中に
砂消しもあるんやろかと
梯子に右手をかけると
親指がちょとだけ(約1センチ)
短かくなった
そういえば
もうそろそろのはずなのに
戻ってこない
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