ことのわ/やまうちあつし
言葉には年輪がある
うそだと思うなら
誰かがはいた言葉を拾い
輪切りにしてみるといい
どんな言葉にも刻まれている
それまでに経験した悲喜こもごもが
出会いや別れが
成し遂げてきたことから
もはや取り返しのつかないことまで
言葉の断面を見せつけられると
話し手は戸惑う
そんなつもりはなかったが
自分でも忘れていたけれど
老人の言葉は老人にしか話せない
幼い者の言葉が幼い者にしか話せないように
詩人は
言葉を拾い上げじっと眺める
言葉に興味があるのと同じだけ
落とし主にも
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