滅び/葉leaf
 
細かにえぐられた容積を抱え込む椎の木立が潜熱としての意味を失う地点であてどなくさざ波は広がる。枝間からこぼれ落ちる木の葉ははじまりを告げる単音を虚空に受精させ大気がむららと熟するのを苔のように待つ。

日暮れに飛び立つ堕天使がしぐさの内側にやさしさを隠しているように、まばたきをするたび密度を増す画された光風はあさっての電線に暗闇を隠している。ただ縞蛇だけがそれを紐状に抜き盗り腹の底にはわせる。

秩序は始まった。真珠のまとう光彩のように。

チェルノーゼムに穿たれた井戸を音楽家がのぞき込むとき雑音は掃き出される。原石が夕日を越えてすべり落ちるので夕涼みの宝珠を磨き出す。だがなめらかな接
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