わたしたちの水槽/モクモク小指
うちのめされて沈んでゆくこと
笑顔で泣くことを
進化というならば
理科などは信じられないね
そうだよ
きみは菌じゃなくて
真夜中の蒸し暑さや清潔な水をのみ干して
青い液晶の中、泳ぐ、熱帯魚みたいな、夢でした
誠実な液体だけがぼくたちを
生かせばいいのに
いつも一人でした
突然幸せになったきみが
電話をかけてくるとき
知らない音楽と土地のはなしをするとき
夢のなかでもシャツの袖口をにぎっていた
きみの、透き通る喉に
アオやキイロの熱帯魚
すこし揺れながら
泳いでいました
戻る 編 削 Point(1)