いつだってわずかなものを求めて街を彷徨っている/ホロウ・シカエルボク
 
ンテナがあって、ほんのちょっとした出来事がそれに直結する瞬間がある、難しいものだな、と俺は思う、必要な物はそれらしく現れたりしない、久しく逢ってなかった友達に偶然出会うときみたいにそいつは現れるんだ…悟りに振り回されてはいけない、なにかを知った気になるのなんてほんの一瞬のことだぜ、重要なのはそのものじゃなくて、そいつから目を逸らさないようにすることさ、変化を目にすることが大事だ、変化についていくことが大事だ、それが出来れば真実はいつでも自分の側にある―側にあったからってどうなるっていうようなものでもないけどね…しいて言うならスローガンみたいなものだから…どんなものにも引き摺られるなよ、安易な謳い文句にのせられて、小さな舞台で踊るような真似だけはしちゃいけないよ、俺は口を拭った、腕時計の文字盤をスルーして時は流れていく、こちらの目が開いていようが、閉じていようがだ、煤けた世界の中で必要なものを見つめ続けるのさ、さあ、行くか―口先で遊んでる連中なんか相手にしたってしょうがないだろ。

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